4時30分頃ざわつきで目を覚ますと周りの方はほとんど居られず、どうやら5時からの朝食前に鏡池に行かれているようである。
外に出てみると快晴のようで、これは逆槍が見られるとばかりにツッカケを履き、木道をトントンと鏡池に歩いてゆく。
鏡池には大勢の方が居られカメラを槍に向けてパチリパチリと撮られており、負けずに娘のお古のデジカメで何度もシッターを押す。
過去二回いずれもガスで見ることのできなかった逆槍と対面し、今日は幸先良しと自己納得。
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槍ヶ岳が逆光の中より姿を現わす |
大キレットから奥穂、ジャンに朝の挨拶 |
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朝食は自炊なので、しばらく展望を楽しんだあと小屋に戻り、1gの保冷水筒にポカリを作り、1.5gの予備水を ザックに詰め込んで、5時50分ひょうたん池の木道を渡り弓折乗越へと向かう。 樹林帯をゆっくりと登り、弓折中弾に抜け出ると朝の光を受けた弓折の稜線がまぶしい。
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朝の鏡平山荘 |
樹林帯より穂先が顔のぞかせる |
朝日が弓折乗越を照らす |
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登山道脇にまだ頑張って咲いている高山植物を楽しみながら徐々に高度を上げてゆく。 振り返ると穂高が屏風のようにそそり立ち、右奥には焼岳から乗鞍がひょっこりと顔を見せている。 鏡平の小屋から約50分をかけて槍、穂高の展望台弓折乗越に着き、朝食タイムへ!
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弓折乗越への斜面 |
弓折乗越…槍穂高の展望良し |
大勢の登山者が一息! |
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弓折乗越への登山道は焼岳と乗鞍の展望がすばらしい |
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弓折乗越に咲く妖精たち |
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ミヤマトリカブト |
ハクサンフウロ |
シナノオトギリ |
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スナックパンとスープ&ソーセージの簡単な朝食を槍を眺めながら頬張る。 小屋では起きてすぐの食事はどうも苦手で、いつもこのパターンで、少し散歩をした後の朝食と言う感じである。
弓折乗越から稜線を少し進むと、花見平と名づけられた広場にでる。
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花見平 |
振り返ると笠への稜線 |
穂高は屏風のように聳える |
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夏の早い時期は雪田が残る場所で、高山植物の宝庫ともなっている。 今年は猛暑の影響か雪もすでに無く、山の妖精達が夏を楽しむように、まだ頑張って咲いているのが印象的である。
花達としばし会話を楽しんだあと、登山道脇に設置されたベンチで一息入れて、双六小屋方面へと脚を向ける。
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クルマユリ |
ハクサンイチゲ |
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少々のアップダウンを繰り返し、左に双六岳の象の背のような稜線を、右に槍の穂先を眺めながらトントンと進む 危惧していた右脚も山ではどうやら大丈夫なようで、稜線から離れて這松帯につづく岩ゴロの道をトラバース気味に下ってゆくと、 前方のVゾーンに双六小屋の赤い屋根と鷲羽の白い巨体が目に入ってくる。
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双六の稜線 |
神々の山槍穂高連峰 |
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歩いて来た稜線…向うに飛騨の名峰笠ヶ岳 |
V字の向うに鷲羽の巨体・・・双六小屋の赤い屋根が印象的 |
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双六池湖畔に降り立ち、植生保護の為に設置されている木道をゆっくりと進み、8時交通の要所双六小屋に到着。 ここでポカリを作り、水を十分に補給し、下界同様に猛暑がきびしく、直射日光をさえぎるもの物のない三俣蓮華への登りに備える。
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双六池と交通の要所双六小屋 |
ほとりに咲く双六の花トウヤクリンドウ |
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三俣蓮華に向かうには双六山頂経由の尾根コース、中道コース、巻き道コースの三つが用意されているが、 黒部五郎の山頂まではずいぶんと遠く、自分の脚では双六岳に寄ってから三俣蓮華に向かうと、五郎の小舎へ日のあるうちに
戻って来るのはきつく、日がくれて出没情報の多い熊さんの餌になってもいけないので、近道の中道を選択!
一息入れた後、小屋裏より這松帯につづく急なガレ道を登りはじめる、 思った以上に傾斜がきつく何度も立ち休憩を繰り返しながら中道、巻き道との分岐に到着。
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巻き道との分岐…左中道 |
分岐より裏銀座の名峰 左より三俣蓮華 祖父 黒岳 鷲羽 |
中道分岐…左尾根コース |
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ここから中道に方向をとり、稜線にせり上がる尾根コースを左に見て草原の中につづく登山道を快調に進む。 中道コースはアップダウンが少なく、ミヤマリンドウ、キリンソウなど秋の妖精が咲き誇っており、ちょつとした楽園を歩いている気分になる。 花が好きな人には絶対のお勧めコースと言える。
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草原に続く中道登山道と三俣蓮華へのスカイライン |
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中道登山道の妖精たち |
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ウサギギク |
ハクサンフウロ |
ミヤマリンドウ |
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ミヤマトリカブト |
ミヤマダイコンソウ |
トウヤクリンドウ |
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双六岳への春道、小屋の水源である雪渓下を順調に通過し、エンヤコラとアルバイトをして三俣蓮華へ続く稜線に登り着く。 ここからはなだらかな稜線を左に黒部五郎を、右に穂先を見ながらのスカイライントレッキングとなり気分爽快!天空はブルーのみ!
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中道登山コース全景 |
三俣・双六稜線分岐 |
三俣蓮華に続く道 |
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稜線からは目的地の黒部五郎が |
夏空に穂先が天を突く |
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そして到着した蓮華の頂からは言葉では言い表せないすばらしい展望のプレゼントをもらう。
山から帰り、撮影してきた写真を奥さんと娘に見せると、あいかわらす「下手ね」とのお言葉を覆そうと、ビューポイントに助けられるように、
カメラマン気取りになり裏銀座の名峰達を、押すだけカメラで数打ちゃ当たるとばかりに何枚も何枚も撮って行く。
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三俣蓮華山頂より 左から祖父岳、後は赤牛、立山・剣 黒岳 ワリモ岳 鷲羽 真中の谷は黒部源流部 |
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三俣蓮華岳からの展望 |
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黒部五郎岳 |
鷲羽岳 |
槍穂高連峰 |
祖父岳と水晶 奥に剣が |
雲ノ平と薬師 |
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今日これから五郎の頂を踏めば、ここから眺められる主な山はすべて登っているんだなとの満足感が沸いてくる。 先着されていた大勢の登山者の方と山の話を語らってたのしい時間を過ごす。老若男女区別なく話できるのがまた山の魅力かなあ! 後ろ髪を引かれる絶景を残して黒部五郎に向けて山頂をあとに五郎平へと下りはじめる。
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蓮華山頂から五郎平へは尾根伝いの下りになり、眼下に黒部の源流部と雲の平を望みながらゆっくりと進む 結構急な下りで、景色に見とれてバランスを崩しては大変と、年齢ともに弱くなってきている膝と不安を抱える右脚をかばいながらのクライムダウン。 三俣蓮華小屋からの巻き道分岐まで下ると稜線は穏やかになり、五郎カールの広がりが大きく見えてくる。。 |
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五郎平へ下る尾根筋の登山道 |
左に雲ノ平と黒部源流 |
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登山道沿いの岩に腰掛けて一息入れたあと、稜線と別れて樹林帯のゴロゴロの急な道をしばら下ってゆくと目の前が開けて、赤い三角屋根が現れる 11時40分鏡平の小屋を出てから6時間、なんとか予定通り昼前に五郎小舎に到着し、これで山頂を今日中に踏めるなあとザックをおろす。 ここでランチタイムの焼そばを作り、腹ごしらえをしたあとサブザックに水とレインウエアをほうり込んで待望の五郎カールへ!
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三俣小屋への巻き道 |
咲き誇るミヤマリンドウ |
黒部五郎小舎 |
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空と草原と木々がメルヘンチックな雰囲気をかもしだす五郎平を気持ちよく歩き、カールへと入って行く 黒部五郎に抱かれた広大なカールは、水と花と岩のオブジェが至る所に点在し、まさに北アルプスの秘境、楽園と言える。 巨大な雷岩付近で天然記念物の蝶の生態を調査されていた方と自然の素晴しさを語り合う時間を持つ事も出来カールに感謝。 。 |
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五郎平と黒部の小舎 |
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プーさんと遭遇する事も無く、カールを抜けて稜線にせり上がる強大な斜面を一歩一歩登り、北ノ股岳との分岐を通過。
脚に相当バテがきているが、もうひとふんばり、もう少しと山頂へのガレ場をカメのように登って行き、14時33分憧れの頂に立つ。
1994年の夏、小学生の娘と奥さんを連れて白馬を訪れてから17年、最後まで残っていたこの頂に立つと 数々の想い出が脳裏をめぐり、歳がいもなく目頭が熱くなるのを覚える。
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カールから稜線への登り |
折立・北ノ股岳との分岐 |
最後のガレ場 |
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山頂 |
まもなく赤い服が似合う登山者 |
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山頂でしばらく至福の時間を過ごしたあと、下山は稜線コースを選択し、五郎平へと ちょつとした岩尾根が続くが、キレットやジャンダルムのような危険箇所はなく眼下にカールの広がりを見下ろす高度感あふれる面白いコースである。 チングルマやツガザクラなどの妖精も咲き誇っており、2時間弱の快適なクライムダウンを楽しみ、キャンプ場を抜けて小屋に戻る。
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稜線コース2景 左下にカールが広がり、上部は岩が多いが下部はお花畑もあり。 |
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五郎を振り返る |
今日のお宿と再会 |
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小屋では、神奈川よりお越しのすばらしい人生の先輩お二人と同じ部屋になり、山の話を色々と聞かせて頂く
小生もこのお二人のように何時までも山を感じたいなあとあらためて思う。
ちなみにお二人は小生より10歳程年長であるにもかかわらず、脚は小生より10歳以上お若いようであり、
翌日は双六山頂まで常に先を歩かれておられました。
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アオノツガザクラ・イワイチョウ・コイワカガミ・ヨツバシオガマ・チングルマ・エゾシオガマ |
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