2日目山行記録

穂高山荘(5:30)⇒奥穂高岳(6:05 6:20)⇒ジャンダルム(7:12 7:30))⇒天狗岳⇒間の岳(9:35)⇒西穂高岳⇒西穂山荘⇒ロープウェイ乗り場


朝4時30分に目を覚まし、外を確認すると星が輝いており天候の回復を知る。
すでに早立ちの人は登山支度 を済ませており
玄関には多くのザックが並んでおり遅れてはいかんと布団をたたみ忙しく、静かに準備にかかる。

朝焼けを楽しんだ後、吊尾根に向かうご夫婦の方と朝5時30分、まだ薄暗い中を奥穂に向けて山荘を出発する。
下から見上げると垂直に見える長いはしご(実際にはそれほどでもない)を続けて二つ登りる。

前方にひときわ尖がった岩峰ジャンダルムが目に入いると奥穂山頂は近く、
笠を眺めながら飛騨側を進むと前方に大きなケルンが見えてくる。
岩くずの道をさらにひと登りして3190mの山頂に立つ。

巨大なケルンのあるこの山頂に立つのは今回で4度目であるが、
こんなに静かな山頂は初めてで3000mを一人じめした気分で山の休
日をのんびりと味わう
飛騨側を登り前方の尾根を越える 登山道より振り返ると槍が 鋭鋒ジャンダルムが迎えてくれる 山頂のへの道と大ケルン
山頂からの展望
山頂より涸沢岳、槍、北穂の巨人達 ジャンダルムへ続く道

西穂への縦走ははじめてで不安もあるが、孤高のごとくそそり立つジャンダルムを眺めるとわくわくする期待感の方が強く、
靴の紐を締め直し直下の分岐をジャンに足を向ける。

まずはじめに馬の背と呼ばれ両側の鋭く切れ落ちたナイフリッジの通過である。
結構な高度感があり落ちれば・・・確実に!! 緊張感が走る。 
スタンスを見極め三点支持を忠実に守り、時には岩を跨ぐ感じで慎重に下る。

2本の足で立てる場所より振り返るとすごいところを下りたんだなあと実感する。
難所はさらに続きロバ耳と呼ばれる岩稜のトラバースへと入って行く。
人ひとり通れるくらいの高度感満点の岩棚の道が続きバランスを崩さないように慎重に進み、
岩を乗り越えると前方にジャンの壁が立ちはだかってくる。
馬の背の取り付き ギザギザを歩く クサリが続く 岩棚のトラバース
結構な高度感 下から見るとすごいと感じる ひと一人通れる岩棚 下はスパッと切れ落ちている

いよいよジャンの登りであるが、奥穂側からは登れそうになく西穂側へ回り込み通常ルートを登る

西穂側からは簡単に登れ7時12分長年の夢であった3163mの憧れのピークに足跡を残す・・・バンザイ 感無量である
ピークからの展望を楽しみ名残おしいが、先が長いので元のコルへ下る。
憧れのジャンダルム
コルからは岩のやせた尾根を下り飛騨側に回りこんで浮石に注意しながらガレ場をひと登りして、コブの頭に立つ。
ここからはさらに大きな岩が重なり合うようなでこぼこの稜線を下り、正面に西穂への稜線と
天狗岩の垂直の壁を目に入れながら飛騨側の急な崖を下りきって天狗のコルに到着する。

先着の登山者の方が休憩されており自分も非難小屋跡の石に腰を下ろししばしの休憩を取る。
コルから見上げる天狗岩はどこを登ればいいのかと思うほどの垂直の壁が迫ってきている。
先の登山者の方に失礼し、垂直の壁を登りはじめる。クサリを補助的に使い、三点支持を守って登り、さらに
ジグザグの岩道を進んで天狗岩に立つ。
きびしい稜線が続く 大岩が重なる稜線前方に天狗の壁 天狗岩への垂直の壁 頭へのきつい登り
天狗の頭よりしばらく岩尾根を下降してゆくと有名な逆層のスラブに出合う
見た目はきつく見えるが、下りてみるとそれほどでもなくクサリを補助につかうと二本足で
たったまま下降可能であった。ただスタンスはきっちり取り油断は大敵である。
下りきったところが間天のコルで、間の岳と天狗岳の頭を取って付けられている。
ここで初めて逆方向からの登山者とすれ違い、お互いに情報交換する。

間天のコルから間の岳山頂へもきびしい登りと、クサリ場、岩尾根と足場の悪いところが
連続し、慎重にコースを選びながら進み小さなピークを超えて、展望抜群の頂に到着する
奥穂山頂を出て3時間強岩場歩きを続けていることになるが、前方に見える西穂との間にも
まだ大小のピークが幾つかあり、展望を楽しみながらも気を引き締める。

          
間の岳山頂からはルンゼ状の急斜面を下り、幾つか癖のある小ピークの登下行をくりかえしながら
両側の切れ落ちた岩場とクサリ場を三点支持で通過して、西穂へのきつい登りをいっぽ一歩登って
2908.6mの頂に立つ。
山頂より今歩いてきた縦走路を振り返ると大きな達成感が湧き、眼下の上高地を眺めながら
満足感に浸る。 ああ・・・最高の山の休日である。
   


              有名な逆層スラブ