大キレット
天候:2日目濃いガス2日目
南岳小屋(5:30)⇒大キレット(A沢のコル6:45 6:55) ⇒北穂小屋(7:45 8:00)
北穂山頂⇒涸沢岳(9:35)⇒穂高山荘(945 10:20)⇒白出沢⇒新穂高温泉14:55)
朝5時に起きてスリガラス越しに外を確認すると視界がない、濃いガスがスリガラスになっているのである。 昨年2度ここより大キレットを渡ろうとし、2度とも濃いガスと雨で断念した経緯があるので少し不安な気持ちで 昨晩は布団に入ったのであったが、それが的中したのかとガクとなる。 とりあえず小屋の外に出てみると 思ったほど風は弱く、雨もほとんど降っていないので支度をし、5時30分 キレットに向けて小屋を発つ。 ガスで煙る南岳からの下り⇒ |
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まずルンゼ状のガラ場を滑らないように足元に注して下って行くと岩壁にはしごが垂直に2つ架けられており、三点支持の基本でここを通過し トラバース気味に岩場を下ると細い尾根にでる。 高度差のある南岳壁を一気 に下ったのであるが、ガスの為その高度差は残念ながら確認は出来ず。 尾根上の道は結構なだらかで最低のコルまでは歩きやすく、晴れていれば左に涸沢、右に飛騨、滝谷の展望を楽しみながらのトレッキングに なるのになあと思いながらも足元には注意して進む。 最低のコルからいよいよ長谷川ピークの登りである。ペンキマークに沿って岩場を慎重に登って行くとクサリにガードされた四角い大きな岩に 突き当たる、これを超える長谷川ピークの下りになり、両側が切れ落ちたナイフリッジである。今日はガスで岩が湿り滑りやすいので慎重に 足場を見つけて、クサリの補助を受けながら進み、最後の1枚岩の滑らないように下りるとA沢のコルに到着である。 |
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コルで10分程休憩し、飛騨泣きに向けて岩場を登って行く。A沢のコルから少し登ったところで今日はじめて登山者とすれ違う。 女性の単独登山者で、情報交換をしてお互いの安全登山の言葉を交わし、さらに岩場を進むと飛騨泣きの取り付き点に到着である。 はじめの一歩目が出しにくい岩場から飛騨泣きがはじめる。三点支持の基本を守りしっかりと足場を取り体のバランスを確保しながら登る。 滝谷上部を登って行くので高度感は満点であり、岩登りの感覚も味わえる。 痩せ尾根渡りはしっかりした太いクサリと足場が設置されているので、バランス取りながら通過し、北穂北壁の長い登り向う。 落石に意しながらクサリ場を抜け、ガラ場をひと登りするとガスの中前方上部に北穂の小屋を確認する。 7時45分無人の北穂のテラスに到着。 南岳小屋を出て2時間15分、振り返るとキレットはガスの中で何も見えないが、心地よい満足感が手足に残る。 |
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無人のテラスで一服しながら簡単な朝食を採り小屋横より山頂へ、ガスで展望の無い4度目の山頂に足跡を残しあっさりと涸沢岳に向かう。 石畳の道に残る雪を下って大岩を巻くように少しばかり登ると南稜への分岐に出、道を右上部方向に取り、ドームへと足を進める。 ドーム下より長い長いクサリ場を滝谷を意識しながら慎重に下り、小さな岩こぶを2つ程超えてガレ場の稜線を進み最低コルで小休止を取る。 最低コルからは再び岩場の急登になり、クサリとはしごが連続する涸沢槍を三点支持の基本でを通過してD沢のコルでちょっと一息。 最後の涸沢岳への登りもクサリ、はしごが連続しており、足場を確認しながら、狭いルンゼ状のクサリ場を抜けて山頂稜線に立つ。 3110mの山頂に挨拶をし、ザレ場の道を下って穂高岳山荘に9時45分到着。 |
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山荘にてラーメンで腹を膨らまし、岩稜を縦走してきた満足感に浸りながらしばしの休憩を取る。 あいにくの天候で、テラスより涸沢カールを望むことはかなわず。30分ほどのんびりしたあと、山荘の方に白出沢の状況をお聞きすると 雪渓が残りアイゼンが必要とのこと又、雪渓下部が岩崩れで埋まっており一部登山道が消えているので注意してくださいとの言葉を聞く。 この夏登山者として白出沢を下るのは自分がはじめてらしいので、気を引き締めて小屋横の下山口に向かう。 ガラ場をペンキ印に沿ってジグザグに下って行くと雪渓に出合い、アイゼンをつけて滑らないように慎重に一歩一歩進むが尻餅をつき 10m程下降してしまう。幸い岩こぶに登山靴を絡め停止出来たが、ひや汗ものであった。 小さな雪渓と言えども舐めてかかるとえらい目にあうことを教訓に嫁と娘の顔を浮かべて再度気を引き締める。200m程下ると崩壊地になり、 浮石に中止しながら進み、右方向に久しぶりに見つけたペンキマークより夏道に戻る。 潅木帯の急坂を抜け、沢上部に付けられた400m程の岩切道を左に切れ落ちた谷に注意しながら下り、重太郎橋を渡って樹林帯に入る。 樹林帯をしばらく進むと白出小屋に到着し、小屋前のベンチで今回の余韻を楽しみ新穂高温泉へと下山する。 |
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今回の山行は2日間ともガスの中の行動であったが、キレットも通過でき自分なりには満足しているが、心残りは稜線からの展望を 味わうことが出来なかったことであり、もう一度晴れの日に来ようと新穂高温泉の露天風呂に浸かりながら思う。 |