穂高大キレット
南岳新道から大キレットを渡り北穂、白出沢を下る。
山行日:2005年7月15.16日
天候:1日目曇り 2日目濃いガス
メンバー:単独
コース:1日目 新穂高温泉(5:40)⇒滝谷(8:00 8:15)⇒槍平小屋(8:55 9:30)⇒南岳新道⇒南岳小屋(12:50)
2日目 南岳小屋(5:30)⇒大キレット(A沢のコル6:45 6:55)⇒北穂小屋(7:45 8:00)⇒北穂山頂⇒涸沢岳⇒穂高山荘(9:45 10:20)⇒白出沢⇒新穂高温泉(14:55)


7月の声を聞くと居ても立ってもおれず、梅雨の合間を狙い緊急の休みをもらい北アルプスへ向かう。19時に仕事を済ましそのまま
京都南インターより名神に乗り東海北陸道の清美インターを目指す。途中、多賀とひるがの高原のSAで休憩と夜食をとり、23時清美インターを通過。
清美インターからは国道158号線を走り飛騨高山の町を抜け平湯温泉へと向かう。
北アルプスへの山行時はいつもこの道を利用するが、今日は単独のため話相手がおらず少し退屈な道中となる。

昨年8月もバスでこの道より上高地に入山するが、ぐっすりと寝込んでしまいバスでエコノミークラス症候群を発生させたいわくつきの道でもある。
幸い今日は運転手兼任の為、足が動いているのでその心配はなし。

24時過ぎひっそりとした平湯温泉に到着し、さらに奥飛騨の山間道を新穂高へと車を走らす。
新平湯、栃尾温泉と抜け午前1時無料の市営駐車場に車を止める。
あたりは当然なにも見えない暗闇であるが、天井には明日の天気を期待さすかのようないっぱいの星が!・・・いやでていない。


車の中に寝袋を敷いて、しばしの仮眠を取り午前5時に起床して登山支度をし、
今にも泣きだしそうな空を見上げながらバスターミナルに向かう。

10分程でターミナルに着き、ここで登山届けを提出し軽い食事をとって5時40分
がまた川右岸の林道を歩きはじめる。昨年もこの道を歩いているが苦手な林道歩きの為

黙々と下を向いて歩き穂高平山荘への近道を見逃したので、今年は回りに気を配りながら
見逃すまいとして目を凝らして進む。

おかげで近道を通ることが出来、6時20分穂高平山荘に到着する。
山荘の前は広大な牧場で草原には飛騨牛が放し飼いにされており、思わずヨダ・・・!

          *穂高平山荘・・・以前は非難小屋であったが、今は宿泊が出来る

市営駐車場 新穂高温泉
バスターミナル 新穂高ロープウェイ 穂高平山荘への近道標識 穂高平山荘 飛騨牛

一息入れ、さらに林道を30分程進むと白出沢の小屋に出会う。現在は休業しているが最盛期には穂高より白出沢を
下ってきた登山者が満足感に浸り休憩するところである。

自分も順調に予定をこなし明日の夕方にはここで満足感に浸っていることになれば最高だろうなと思いつつ通過してゆく。
白出小屋のちょい先の非難小屋で林道が終わり、ガラ場の白出沢を越えて本格的な登山道に入る。

道はまだまだ平坦で、林道歩きよりも快適に進むことができ、樹林帯の中さわやかな気分のトレッキングである。
昨年雨の中で休憩をしたチビ谷に7時45分に時に到着し、昨年と同じ岩の上で一息つき、さらに足を進める。
登山道はまだまだ穏やかな道で滝谷までは軽快に歩くことが出来る
今日の滝谷は結構上部まで見ることが出来、沢を渡りながら眺める岩と滝は圧巻である。

新しくかけられている橋(あとで聞くと昨日かけられたばかりだそうである)を渡ると、滝谷の開拓者である藤木九三氏の
レリーフが右の岩にあり、ここで休憩をとり先行の槍ヶ岳に向かわれる登山者の方としばしの山談義をする。
ほとんどがお互いに自慢話であるがこれがまた楽しいのである。

白出小屋
槍平に向かう登山道 チビ谷 藤木九三氏のレリーフ

槍平の小屋は、飛騨沢経由で槍へ向かう道と新道経由で南岳稜線へ向かう道との分岐にあり、登り下りする多くの登山者のオアシス的存在になっている。
新穂高のターミナルを出て3時間強、ちぉうどこの小屋に着く頃にお腹の虫が騒ぎ出し、再び腹ごしらえをし新道の急登にそなえて十分な休憩を取る。

30分程休憩後南岳新道の登りに入って行く。小屋の前より樹林帯をしばらく登ると大きな南沢に出合う、雪渓が雨で出っ張って来て通常の登山コースが
崩れているので、沢向こうの赤い旗を目印に雪渓をしばらく登って引き返す感じで沢を渡

*槍平小屋の方が道を整備されているので、まもなくわかりやすく安全な道が出来るようである。

沢を渡ってからが、南岳新道の本格的な急登がはじまり、
樹林帯の中に、はしごはしごが連続し何度も立ち止まりながらも一歩一歩高度を稼いで行く

樹林帯の急登を抜けると石ごろのつづらおりがしばらく続き、
這松帯にかけられたはしごを 息切れしながら登ると救急箱の設置された尾根に到着である。

新道の急登はまだまだ続き、ガスで上部の見えない岩尾根を慎重に登り切ると
「ここより非常に急な下り」の看板があり、急登が終わることがわかり
ほっとする一瞬である。本当にホットする。


看板より登山道は細い尾根につけられた木道になり、
両側が切れ落ちているのでバランスを取り慎重に進む。

昨年は風が強く、この木道を這って渡ったことを思い出しながらガスの中を通過し、
はしごを下って南岳へと続く雪渓へと抜けて行く。
きれいに切り取りされた雪渓を通過すると南岳新道開通の標識があり、
小屋に向けて南岳斜面のガラ場の登りとなる。

ジグザグに続く道は、結構きつく何度も何度も立ち止まっては、上を見上げ、ため息をつき、
ため息をついてはまた登りはじめる。

ガラ場を登り初めて20分、もう少しで小屋に着くと思われるが、なかなか着かず、
ガスで距離感がつかめず新道の登りよりもキツク感じてしまう。
道脇の高山植物にはげまされながら、木製の橋を渡り12時40分ガスの中に赤い屋根を確認。
小屋についてみると登山者は自分だけで3000mの稜線を独りじめである。
そもそもこの時期のこの天気で登ってくるのはめずらしいそうであるが!

宿泊手続きを取り夕食まで時間があるので、3時間程の昼寝をし、
目が覚めたあと小屋の従業員の方と雑談をしていると笠ヶ岳方面が明るくなり青空が見え出す。

小屋の方も青空を見るのが久しぶりらしく、
連れ立って穂高展望台の獅子鼻へと稜線散歩に出かける。
昨年は2回ここに来ているが、獅子鼻より展望を味わうのはじめてであり、
夕陽に赤く染まる滝谷を従えた北穂がなんとも言えずすばらしく、
今回の山行はこれだけでも満足と言える。

明日の晴れを期待し、食後早めの眠りつく。
南岳新道 這松帯のの急登
救急箱 カンバン
尾根を渉る木道 ガスをはしる木道