南岳から天狗原

南岳小屋(6:45)→天狗原分岐(7:10)→天狗池(8:05 8:45)→槍沢ロッジ(10:10 10:20)→横尾(11:30 11:55)→上高地(14:15)


5時30分に目を覚まし、外に出てみると眼下は雲海に覆われ常念岳から昇るご来光に目をうばわれる。
雲海の向こうには遥に八ヶ岳と南アルプスが浮かびあがり富士もそのきれいな三角錐の姿を見せている。
少しづつ陽が高くなると反対の笠ヶ岳にも光が届き自然の作リ出す壮大なドラマに立ち会う事が出来る喜びを思うと
なぜか年甲斐も無く目頭が熱くなるのを覚える。

常念岳から昇るご来光
雲海の向こうに八ヶ岳と南アルプス、富士も 笠に朝日が!遠くに白山

小屋に戻り朝食を食べたあとリーダに来年の再会を約束し、今回はキレットには向わず
この雲ひとつない天気であれば天狗池に映る逆さ槍がすばらしいであろうと信じて横尾尾根に足を向ける。

8度目となる南岳山頂で記念写真を撮り、3000mの稜線を槍を目線の先に入れて天狗原分岐に向けて気持ちよく歩いてゆく。
分岐からは笠に別れを告げ昨日歩いた本谷カールを右に見ながら天狗のコルを目指す。
南岳小屋をあとに 穂高を背景に南岳山頂にて 槍を目線に稜線を行く

横尾尾根上部の鎖場を慎重に下り、二つの梯子を通過し大きな岩の重なり合う道をどんどんと下降する。
尾根道からは右下に昨日登ってきた本谷カールが見事な広がりを見せ左上には常に槍が見守ってくれている。
十数年北アルプスに通っているがこのようなすばしい快晴は記憶になく山々に感謝である。
昨年より雨男から晴れ男にかわった自分自身にも思わず感謝である・・・晴れ男山休バンザイ!
尾根上部の登山道と本谷カール 大岩の重なりあう横尾尾根 コル付近は這松と岩が綺麗

天狗のコルからは氷河公園に向けてザレとガレを下り、小さな雪渓上をショートカットしてゆく
ほどなく左下に小さな池が見えはじめ性格的にはやる気持ちを抑えて浮石に躓かないように下りてゆく。

天狗池に着くとそこには水面に見事に映る逆さ槍があり「おお」と思うず声を出してしまうすばらしい景色が!
何度と無くここを登り下りしているのであるが雲ひとつない穂先を映す天狗池はもちろんはじめてである。

5年程前に同じような景色を目にしているがその時は夜行バスでエコノミークラス症候群を発生さし、利かぬ足を
引きづりながら穂先を隠す雲を見て帰宅後即入院の合図であったのかなあと懐かしく思う。
今日はその雲ひとつ無しで帰宅後前回と違い良いことがありそう!

穂先を映す天狗池 思わずポーズ!

天狗池でのんびりとした時間を過ごしたあとお猿さんが遊ぶ天狗原のガレ場を槍への分岐まで下り、
草付のつづら折りをひたすらロッジを目指して槍沢を進む。大曲で一息入れて馬場平のキャンプ場を通過し、
樹林の中に建つ槍沢ロッジに到着する。ロッジはこれから穂先に向かう人や下る人で凄い賑わいである。

ロッジからはもう急な道はなく槍沢の清流を楽しみながら横尾へ。
途中の槍見川原ではめずらしく穂先を見ることも出来、今回の山行はなんと恵まれているのであろうと思う。
二の股、一の股の橋を渡り樹林の上に屏風岩が見え出して横尾に11時30分到着する。

樹林の中に建つ槍沢ロッジ 槍沢の清流沿いを歩く 槍見川原より穂先が! 屏風岩が見え出すと横尾が近い
横尾山荘で昼ごはんを兼ねたラーメンを食べて昨日とは違いのんびりと上高地へ。
河童橋付近より眺める穂高の峰 梓川で遊ぶ水鳥
平湯温泉へ戻るバスより野生の熊君をはじめて見て『ああ』バスの座席でよかったと思う山旅であった。