目をさますと涸沢カールは穂高の峰々を赤く染めるすばらいし夜明けで歓迎してくれ、 大自然の演出に時の経つのを忘れてしまう。
赤からオレンジそして緑に変化してゆく穂高の表情をゆっくりと堪能したあと朝ご飯を作り北穂へ向う準備をすすめる。 今日の行程は北穂経由南岳小屋までなので時間的余裕があり、いつもと比べるとのんびり登山を楽しめそうだ。
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残雪に覆われた石だたみを踏みしめて北穂南稜に向う。 涸沢小屋に寄り道をしてテラスより前穂の写真を撮ったあといよいよ南稜の登りへ。
取り付きからのガレ場をひと登りすると草つきの斜面に変わり、山頂に向けて続くつづら折りの道をひたすら登る。
登山道の周りには高山植物も顔を見せはじめだんだん傾斜を増しきつく感じる身体に和みを与えてくれる。
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涸沢小屋へ |
涸沢小屋テラスより前穂 |
南稜の取り付き |
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北尾根が目線の高さに近づくと草付きが終わり、右にギザギザのゴジラの背を思わせる東稜を見ながら登るとやがて長い鎖場に到着する。 スラブ状の鎖場を一気に登り、それに続く長いはしごを通過すると展望のよいポイントに出、はるかに小さくなった涸沢と奥穂、前穂の ダイナミックな山容を見ながら一息入れる。奥穂への登山道であるザイディングラードに取り付いている人がありのように小さい。
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東稜を右に見て |
鎖場を登る登山者 |
奥穂とザイディングラード |
前穂高と北尾根 |
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鎖場とはしごを過ぎるとガレ場の登りが山頂に向けて続き足元の浮石に気をつけて登ってゆくが、先ほどの草つき斜面よりは楽な感じである。
ここにテントを張る方がいるのかなあといつも思うゴロゴロ岩のキャンプ場を過ぎると目の前は北穂山頂稜線であり、
松濤岩の向こう聳える北穂北稜山頂の人も確認できる。 大きな岩の重なり合うキャンプ場を通過して奥穂への縦走路分岐に到着し、ここにザックをプールして北穂南峰へ。
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鎖場からはガレ場を登る |
山頂稜線の右に小屋が見える |
キャンプ場付近の岩道 |
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縦走路を少し奥穂方面に進み 途中から岩場を 登りつめてゆく奥穂に向う登山者の方が 怪訝な顔をされているが、 何事も無いように さらに登ると 北穂の最高峰南峰に着く。
北穂へは今回で7度目であるが、 南峰の頂を踏むのは初めてであり 北峰とはまた違った感じの 360度開けた展望を 北峰から手を振る人に答えて すこし自慢げに満喫する。
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槍と北穂北峰 |
奥穂高岳と涸沢岳
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分岐に引き返しピーク手前の雪の階段を登って9時37分北峰の頂にザックを下ろす。 |
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北穂北峰山頂からの展望 |
北穂小屋のテラスでたっぷりと休憩したあと小屋横からキレットに向けて下降をはじめる。 南岳方面から渡ってくると何度も立ち止まりながら息切れを繰り返す壁、さすがに急で足元に注意しながら下り、はしごを通過して安定した部分にでる。
はしごを下りきると岩棚をトラバースするようにしばらく進み長い鎖場を下ってゆくと目の前にキレット通過の難所と言われる飛騨泣きが現われる。 取り付きは一枚岩の斜面に太い鎖が通されており、スタンスもしっかり取れるように足場が設置されているので高度感を楽しみながら慎重に渡る。
岩を渡ると滝谷を見ながらの垂直下降になり、三点支持を確実に守りスタンスとホールドを確かめて下り、V字の溝を越えて飛騨泣きの通過を終える。 落石に注意しながら不安定なガレを再び下ってA沢のコルに到着。 A沢のコルでいつか訪れたいと思う本谷左股への下降路を探りながら休憩を取る。目の前はお気に入りの長谷川ピークである。
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飛騨泣きの岩場渡り |
飛騨泣き垂直の壁 |
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長谷川ピークへ登り始めてすぐに岩に 架けれれた木製の橋を渡り、 垂直に感じる壁をピンに助けながら登り切ると 目の前はナイフリッジ状の岩尾根である。
岩棚で反対方向からの登山者の通過を待ったあと ピークへ向けて痩尾根を登りはじめる。
ここも飛騨泣きと同じく鎖が通されているが、 鎖をたよりにするとかえって危険なので 岩の感触を手と足で確認するようにして登ってゆき 白いペンキでHピークとマーキングされた最高点に立つ。
このピークに立つのは今日で4回目であるが 北穂滝谷と本谷を眺めながら味わう高度感は 何回来ても快感・・・!である。 前後に登ってくる登山者のいないのを確認して お気に入りのピークを独り占めにして のんびりと過ごす。
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長谷川ピークの取り付き |
垂直に感じる壁を登る |
痩尾根を慎重に |
Hピークにて |
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長谷川ピークを過ぎると危険な箇所はほとんど無く左に笠の稜線、右に本谷、前方に南岳南壁を見ながらの快適山歩で、 昨日雨の中をイジイジしながら歩いたのとは雲泥の差で思わず70年代の懐メロを口ずさんでしまう。まわりに人がいなくてホッ・・・!
徐々に近づく南岳南壁は何処を登ればいいのかあと思うほどの圧迫感を感じるが、垂直にかけられたはしごを登るとあっと言う間に高度を稼げて 見た目よりは登り易く最後のザレた斜面を登り、南岳小屋まであと10分とかかれたあたらしい標識を過ぎてキレットを渡り終わる。 小屋に着くと外に支配人がおられ今日は逆から来たねと声をかけられ一年ぶりの挨拶をかわす。
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南岳南壁に向けて続く登山道 |
岩溝に梯子がかけれている |
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小屋で荷を解いたあと夕食まで大分時間があるので、獅子鼻、常念平、南岳山頂にのんびりと散策に出かける。 獅子鼻は小屋のすぐそばにあり、そこから眺めるキレットと北穂高は圧巻でよくここを歩いてきたなあとひとりで感激に浸る。
常念平は南岳の裾をまくようにして行くと2分程で着きその名の通り真正面に見える常念山脈がすばらしく、 眼下には本谷カールが広がりを見せ昨日断念した右股からのコースをしっかりと目に焼き付ける。 南岳山頂からは北アルプスの山々がほとんど展望でき、地味な頂であるがこのロケーションは北アルプスナンバー1であると何時も思う。 夕食後は天狗岩から赤く染まる滝谷を眺めて深い眠りにつく。
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獅子鼻から望む穂高 |
常念平より |
南岳山頂と槍 |
赤く染まる北穂高滝谷 |
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笠の稜線に一日の終わりが |
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