小屋のリーダさんに挨拶をし常念岳の向こうに昇るご来光を楽しんだあと、5時キレットの下降点へと向かう。
キレット越えは今回で3回目であるが、晴れに渉るのは初めてであり長谷川ピークも飛騨泣きも仲間と認めてくれたようで
今日はその姿を隠すことなく見せてくれている。
まずルンゼ状のザレ場を慎重に下り岩場をトラバースして垂直にかけられた
はしごを足元を確認しながら通過し鞍部に降り立つ。尾根上の細い道をしばらく進み、飛騨側のザレとガレの道を笠を見ながら
少々のアップダウンを繰り返して2748mの最低コルに到着、ここでHピークを前に腹ごしらえを行う。
ここからは岩の道が長谷川ピークに向って急激にせりあがっており、パンをかじりながらルートを確認する目も真剣になる。
ギザギザの岩の道を浮石や躓きに気をつけ三点支持を守りながら慎重に登っていくと岸壁の先にHピークのペンキマークを確認する。
ピークは圧倒的な高度感があり深い切れ込みを超えて、向こうに見える笠ヶ岳が高い。一人占めのピーク最高!
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朝のキレット全景 |
南岳からの大下り |
長谷川ピークへの登り |
高度感満点のピーク |
ピークよりキレットを望む |
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ピークからは細いナイフリッジ状の岩をクサリのフォローを受け三点支持を守りながら渡り、一枚岩を足場を確認しながら垂直に下る。
岩に架けられた木製の橋をトラバースし、岩場を下ってA沢のコルに着く。結構な高度感があり緊張を強いられるが、クサリと足場がきっちり確保されているので
忠実にマークをたどり、三点支持を守って行動すれば見た目よりも歩き易い。ただ油断は禁物でホールドとスタンスは常に確認する必要がある。
A沢のコルで北穂から下って来た人と情報交換し、飛騨泣きの岩場にそなせて休憩を取る。
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A沢のコルからは垂直に見える壁を登って行きひと岩超えると前面に滝谷の壮絶な岸壁が目の前に迫り、その迫力に思わず目が点となる。
登山道はその滝谷の垂直を右手に見るように岩場をトラバースし、V字にくびれたところより急峻な岩登りとなる、飛騨泣きである。
はじめの一歩に戸惑いを感じながらも岩に手をかけグィと力を入れて三点支持の基本を守りよじ登ってゆく、滝谷の高度感がなんとも言えずずばらしい。
一つ目の難所を越えると今度は岩渡りである、足元がスパッときれ落ちた一枚岩に付けられた太い鎖と足場を確認し、バランスをとりながら通過する。
難所をクリアし、今渡ってきた飛騨泣きと長谷川ピークを返り見るとすごい充実感が沸いてき、自分はここが好きなんだなあとあらためて思う。
来年の再会を約束し飛騨泣きの岸壁に別れを告げ北穂に足を向ける。
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滝谷の岸壁 |
飛騨泣きへの一歩 |
岩場渡り |
高度感 |
岩場渡り全景 |
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飛騨泣のクサリ場 岩を渡る |
飛騨泣と長谷川ピーク |
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しばらくは岩棚に続く道を歩いたあと、はしごのかかる北穂への最後の急な岩道を浮き石に気を配りながら登り、7時35分北穂小屋のテラスに到着する。
お疲れ様・お早いお着きで・一等賞ですよと色々なあったかい言葉でテラスいた人たちが迎えてくれ、年甲斐もなく少しはにかみながらあいさつを交わす。
小屋で冷たい缶飲料を仕入れのどを潤すし、今渉ってきたキレットをテラスより眺め気持ちのよいひと時を過ごしたあと
6回目の頂となる北峰山頂に寝転び山の休日を思う存分に味わう。
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北穂への最後の登り |
北穂小屋テラスより |
北穂山頂 |
山頂より奥穂を望む |
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山頂より階段状の道を少し下り松沢岩を巻くように歩いて南稜との分岐より涸沢岳に向かう。
ドーム岩直下の長い鎖場を慎重に下り、岩の尾根をここも三点支持の基本を守り通過してゆく。
岩峰の飛騨側を巻くように進み、涸沢槍の厳しい岩場の登りに備えて亀岩で休憩がてら少しへこんできたお腹にエネルギーを注入する。
涸沢槍への登りは結構な難所で、槍・奥穂の稜線の中では整備の行き届いた長谷川ピークや飛騨泣きよりもきびしいといつも思うのであるが・・・!
ホールドとスタンスを確認し、高度感とちょっとしたスリルを味わいながらもろい岩とはしごをクリアし
涸沢岳頂上稜線に向けて岩溝の最後の登りへ入ってゆく。
稜線に向けて高度差のある登りが続き、岩のトンネルを抜けるような感じで最後の狭い溝をよじ登ると
目の前に空間が広がり白出沢を超えてジャンダルムがドーンをそびえている。少し稜線を進んで3110mの頂にザックを置く。ドーンをそびえている。
少し稜線を進んで3110mの頂にザックを置く。
涸沢岳は北穂や前穂よりも高い標高を誇っているが、両峰に比べると人気は今一つですこし残念な気もする。
この頂からの展望は、すばらしく眼下に広がるカール、笠の姿、槍への稜線、奥穂の眺めは他の頂に勝るとも劣らないと思うのであるが!
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ドームからの長いクサリ場 |
岩尾根を歩く |
涸沢槍のきつい登り |
稜線へ最後の岩溝 |
ジャンダルム目の前に |
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多くの登山者でにぎわう穂高山荘に10時07分に到着し、自炊が面倒なので山荘で昼ごはんをよばれる。
北穂の小屋でキレットを渡ってきた時に迎えてくれた方が先着されておられ、山好きのお二人とテラスで山の談義を楽しむ。
このお二人は穂高山荘にしばらく滞在され、奥穂、北穂など心ゆくまで山を堪能されるそうである。
またどこかでお会いできるといいですねの言葉をお互いに交わし、明日より仕事が待っている自分は10時50分山荘裏より白出を下りはじめる。
ガレ場をジグザグに延々と下りつづけると雪渓に出くわし、アイゼンの準備をし、4本爪の軽アイゼンを付けて下るが、爪がうまく雪面を捉えきれず苦戦の連続となり
まるでかに歩きのような感じでの下山である。白馬の大雪渓のように明確なルートがない為、雪面がこなれておらず最低6本爪が必要であったと反省しかり。
なんとかかんとか雪渓を下り、岩切り道を通過して樹林帯に入り14時23分時白出小屋跡に着き、林道を歩いて新穂高温泉に16時10分に戻り着く。
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山好きのお二人と |
小屋裏より白出のガラ場 |
雪渓の下り |
白出岩切道 |
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