朝4時外のザワザワ音にを目をさますと、なんと大雨になっているではないか!
天気予報は雲から晴れとなっていたのに(ショック)、この雨では出発できないなと思いながらしばらく様子を見ることにし、
もう一度布団にもぐりこむ。 5時をまわると少し雨も小降りになり、三股や槍に向かう人たちが目立ち始め、
ようやく自分も支度を始める。 6時を過ぎるとガスは濃いものの中天に青空が覗き70%の降水確率を無視し槍に向けて
先行者を追いかけるように6時47分樅沢岳へのきつい登りに足を向ける。
小屋からの急な斜面を一気に登り這い松が続く道を進み樅沢岳に到着するが展望の良い2754メートルの頂はガスの為に
視界はなく踏み跡だけを残す。何度か登下行を繰り返しながら尾根道を進むと次第に天候が回復に向かい、逆光の中に
槍から穂高の3000mの稜線がその姿を見せ始めてくれる。
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双六小屋 |
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双六小屋より急登が始まる |
ガスの樅沢岳山頂 |
樅沢岳稜線を振り返る |
稜線の向こうに槍が! |
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稜線の岩に腰を下ろし一つ一つのピークの山名と標高、そして頂きを踏んだ回数を思いながら目で追ってゆくと山に来た充実感があふれてくる。
槍、大喰、中、南、北穂、涸沢、奥穂、ジャンの3000mを越える8座のピークととそれに続く西穂への稜線の眺めは山好き、山家にはどんな名画よりも
すばらいい宝物であろうと思う。天候の回復とともに足も快調に動き、岩が目立ち始めた稜線を右に鏡平を左に千丈沢の深い切れ込みを見ながら
リズムをつけて進むと槍の穂先がどんどん大きくなり、家族連れの登山者の方に槍をバックにワンショット撮って頂き、残雪と岩道をさらに進んで
千丈乗越に到着する。 |
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西鎌尾根より眺める槍穂高連峰の峰々 |
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乗越には多くの登山者の方がおられこれからの急な登りに備えて休憩をされているようである。
千丈乗越から見上げる槍は左にゴジラの背のような北鎌尾根を従え、右は飛騨沢からのせり上がり鋭く迫力満点である。
飛騨沢を登ってくる登山者がありの様に小さく見え、登山道もここを登るのかというぐらいの急登を見せて登山者に迫って
きている。 行動中あまり食事をとらない自分の為に、留守番の愚妻がザックに詰めてくれたエネルギー源を口に含みながら
急な登りを見つめてファイトの蓄積をし、十分な休憩後双六で同部屋だった方と連れ立ってさわやか高校生のグループの
あとを西鎌尾根の核心部最後の登りに入ってゆく。
穂先は直ぐ目の前にあるのに地図上槍まで1時間50分、相当きつい登りである。
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ザレとガレの交じりあう道を一歩一歩登り、山荘左手に続くつづら折りを登りきると目の前に大きな岩の塊が現れ、その岩の上に赤や黄色の小さな
動く点が見えてくる。一見これが槍と錯覚しそうな岩の塊であるが、確かに穂先である。乗越より約1時間10分、見た目よりも時間がかからず歩きやすく、
槍にひっぱられたのか!愚妻のエネルギーの元がきいたのか!と思いながら高校生さんに写真をお願いする。 |
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乗越より槍への登山道 |
飛騨沢を登るジグザグの道 |
歩いて来た稜線 |
穂先を眺める |
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山荘横の岩棚にザックをプールし、サブザックに飲料とカメラを放り込み槍の穂先に向かう。先程まで込んでいた穂先も運よく空いており渋滞にあうことなく
スムーズに登れ岩場と垂直のはしごをクリアし3180mの頂に12時17分、3度目の踏み跡を残す。
100点満点の展望とまではいかないが360度視界が開け、今歩いてきた西鎌尾根や東鎌尾根が眼下に細く見え、少しガスがかかっているが裏銀座や穂高の
峰々もその姿を確認することができる。 何度見ても飽きることのない憧れの北鎌尾根をしばらく眺め、いつかはとその姿を心に刻み山頂を後にする。
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槍山荘は本日の宿泊客でごったがえしており、人気の山小屋利用と梅雨明けを待って山に入った人が多いのがよくわかる。 その様子を横目で見ながら
少し遅めの昼食を採りここに宿泊するという双六小屋で意気投合した方に別れを告げ、北アルプス槍穂高の常宿にしている南岳小屋に向かう為に
隣接するキャンプ場を下り大喰岳へと足を進める。キャンプ場をジグザグに下ると直ぐに日本最高所の峠、飛騨乗越に着く。
乗越から登山道は大喰岳に向けてのきつい登りになりガレの続く道を一登りするとたくさんのケルンがある本日二つ目の3000mの頂である。
ピークはすこしわかりにくく登山道より少し南に山頂標識が立っており、標識をオブジェにして槍の穂先をカメラにおさめる。
初めてこの山頂を訪れる人やガスの濃い日にはピークがわからず通過する人が多いのではないだろうか!
大喰からは一旦鞍部に下り再び急なガレ場とはしご二つを登ればやさしい雰囲気を持つ中岳山頂である。槍から数えて本日3つ目の3000メートルの頂である。
山頂で少し展望を楽しんだあと、地震後にあたらしく造られた西側稜線の道を下り南岳へと続く縦走路に進む。
3000mの頂を結ぶ稜線山歩はまことに気持ちよく、これぞまさしく気分爽快・・・北アルプス最高と思わずこころの中で叫ぶ!
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大喰岳山頂とガスに煙る槍 |
大喰岳の上に突き出た穂先 |
中岳へ続く登山道 |
中岳山頂とお守り水筒 |
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南岳へはなだらかな稜線を歩き、小さな岩場ツバメ岩を通過して常念と笠を左右に見ながら進むとやがて前方に天狗原への分岐標識が目に入ってくる。
分岐を左に見て石畳のように整備された稜線をさらに進み大きな山塊を斜めにトラバース気味に登っていくと3032.7mの標高を持つ山頂に到着である。
この山頂は私にとって古くからの友人ように懐かしく、膝を痛め足を引きずりながら天狗原へ下山したことや台風の為登って直ぐやむなく下山したこと、
ガスと大雨で寒さに震えながら通過したことなどを思わずポールに話しかけてしまいそうである。
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南岳に向かう登山道 |
つばめ岩の向こうに南岳が |
南岳をトラバース気味に |
振り返ると槍が |
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山頂からはザレ場を少し下って本日の宿泊地であるお気に入りの南岳小屋に到着する。
小屋のリーダーさんに1年ぶりの挨拶をし、昨年からの約束である新しい手ぬぐいをゲットさせて頂く。
宿泊手続きをしたあと夕食までの間、獅子鼻の岸壁に腰かけ北穂とキレットを眺めながらリラックスのひと時を過ごす。
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南岳小屋 |
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