奥穂、前穂、岳沢
北アルプス最高峰から吊尾根を渡り、前穂へと3000mの稜線散歩

コース:穂高岳山荘(6:50)→奥穂高(7:37)→馬ノ背散歩→奥穂高(8:04 8:43)→紀美子平(10:00 10:05)→前穂山頂(10:35 10:46)
紀美子平(11:02 11:10)→岳沢小屋(13:17 14:10)→上高地岳沢登山口(15:32)


昨晩の穂高岳山荘は別段の混雑もなく、体力回復の睡眠も十分取れたようで目覚めが良い。
夕食後、各方面より登ってこられた方々とコーヒーを片手にノンビリと山談議を楽しむことも出来いい山小屋ライフであった。

外に出るとすばらしい快晴で御来光に合掌したあと朝食タイム。
今日の行程は奥穂、前穂から上高地下山で時間的に余裕があり、エネルギー満点のノム氏の要望で馬の背への遠足を付加。

山荘横より見上げると垂直に見える岩の壁に架かる梯子二つを登って行く
ご来光に合掌
穂高山荘にて・・・三人組 小屋横が奥穂への取り付き 梯子二つを登る

梯子を登りきると飛騨側に廻り込むようにしてゆるやかなガレ場を前方に姿をみせた奥穂頂に向かって登って行く。
振り返ると昨日踏んできた北穂、涸沢岳の頂が高く、飛騨沢を越えて笠も朝の光に
輝いている。

山荘を出て約50分、セバ谷よりせり上げるジャンダルムを見ながらガレ場をひと登りして奥穂山頂に着く。

前方の奥穂山頂へ飛騨側のガレた岩場を登る 昨日踏んだ北穂と涸沢岳・・・穂先は雲の中
飛騨沢の向こうに笠ヶ岳が光る セバ谷よりせりあがるジャンダルム

ひとますず山頂にザックをプールし、ノム氏の希望でジャンダルムの入り口馬の背に遠足。
ギザギザの稜線を10分程行くと馬の背に到着し、そのナイフリッジと高度感にノム氏、ミーとマン氏も唖然!

「会長ロープお願いします」とミートマン氏の声がジャンにこだまする。
ジャンから西穂は来年のの楽しみにして奥穂へと戻る。
ジャンへのルート・・・真中の窪みが馬の背 ギザギザを歩く・・・ミーとマン氏 チョット腰が引けていますよ・・・ノムさん

北アルプス最高峰、奥穂高大ケルンの上で記念撮影をし、最高峰からの展望を思い存分楽しむ。

18年前にはじめて奥穂の頂を踏んでから今回で8回目の頂きとなるが、不思議に相性がよく3190mはいつも晴れ!
穂高神社嶺宮に御礼の合掌・・・次もよろしくお願いします。


山頂でノンビリとした時間を過ごしたあと、吊尾根を今山行4座目の3000m峰前穂へと足を向ける。
奥穂山頂の大ケルンと鋭鋒ジャンダルム
穂高神社嶺宮と奥穂山頂 上高地展望

奥穂山頂と前穂をつなぐ吊尾根は上高地の河童橋より正面に見上げる尾根で、ルートのほとんどが岳沢側の斜面となる。
穂高縦走のメインルートで大キレットや奥穂、西穂間ほどの厳しさはないもののクサリ場もあり油断は禁物、もちろん躓くことは厳禁である。

出だしは上高地を右眼下に見ながら前穂の鞍部まで岩の道を緩やかに下って行く。

緩やかに下って行く 鎖場では4点支持も ガスの湧く前穂を目指す

最低鞍部鞍部を過ぎると前穂南西斜面のトラバース道となり、右は岳沢へ切れ落ちており足元には十分注意。
ジャンダルムに押されるようにして岩の壁を回り込んでゆくと前穂の取り付き点紀美子平へと到着する。

紀美子平は穂高岳山荘の開設者であり、新道開拓に尽くされた今田氏の娘さんで若くして亡くなられことを偲び、重太郎新道同様に
何時しか親しみをこめて登山者より呼ばれるようになったそうです。

紀美子平に続くトラバース道・・・右側は岳沢に切れ落ちている 紀美子平手前の岩場を慎重に通過

紀美子平からはザックをプールして空身で前穂山頂へ登る。
30分程岩の道を登ると細長い山頂へと到着し、あいにくのガスで展望はないものの10年ぶりの一等三角点にタッチ。
氷壁の舞台東壁を覗き込んで「ヒェー」と声を出し、ここを登る人がいるんだなと感心。

今山行最後の3000mの頂でスリーショットを撮り紀美子平へと戻る。
紀美子平でくつろぐ登山者 前穂山頂 山頂にて・・助さん角さんを従えて

さあ! 上高地への最後の下り! 紀美子平からすぐに左側の切れ落ちた鎖場を慎重に通過し、梯子を超えてゆく。
岳沢に向けて岩場の急な下りが延々と続き、さすがに三日目ともなると膝が笑い出してくる。
雷鳥広場、カモシカの立場台を過ぎるとダケカンバ帯へと風景が変わり、登山道は岩道から梯子の連続となり一気に高度を下げる。

岩場の緊張感が溶けて気持がフッとなり事故の多い場所でもあるので気を抜いてはいけない!スピードにも注意!
入山日前日にもここで滑落事故があったそうである。
  合掌! ご冥福をお祈りいたします。
重太郎新道登山道風景
出だしのクサリ場 長い岩場の下り
雷鳥広場 かもしかの立場・・・西穂稜線 足元が不安な鎖場・・・転倒注意
ダケカンバ帯の中に梯子の連続

樹林の間より岳沢小屋が次第に大きく見えだすと登山道の周りはお花畑となり、秋の花達が和みを与えてくれる。
重太郎新道は今回で4回目の下りとなるが毎回激下りに膝が笑いノックアウト寸前の山休であった。

キャンプ場からガレ場を渡ると数年前に新しく開設されただけ沢小屋へと到着する。

重太郎新道の花達・・・トウヤクリンドウイ、イワギキョウ、アキノキリンソウ、ハクサンフウロ、トリカブト、オヤマリンドウ

穂高南岳小屋でお世話になり、今は岳沢小屋の支配人をされているSさんに挨拶をしてテラスで昼食タイム!
もちろんメニューは山の定番であるどん衛兵・・・うまい!


小1時間程休憩後、小屋に別れを告げて上高地へと樹林帯を黙々と下る。
小屋を出てから1時間20分、途中岳沢名物天然クーラー風穴で身体を冷やして上高地に下山。

オアシス岳沢小屋 天然クーラー風穴 岳沢登山口

今期3度目のアルプス遠征は天候にも恵まれて北穂、涸沢、奥穂、前穂と3000m峰四つの頂きを踏めたことに
途中わがままを聞いてくれた仲間に感謝し、登山道に一礼して山旅を終える。