鈴鹿真ノ谷 
茶屋川を遡行しし三筋滝、真ノ谷、御池テーブルランドを巡る。

山行日:2011年11月27日
天候:薄く曇り
メンバー:単独
コース:御池林道小又谷(8:40)→ノタノ坂(9:13 9:18)→茨川(9:42 9:52)→(茶屋川)→蛇谷出合(10:25)→三筋滝(10:58 11:15)→
(真ノ谷)→テーブルランド東ボタンブチ(13:10 13:15)→ボタンブチ手前岩場(13:44 14:10)→T字尾根下降点(14:22)
→T字尾根中心(15:00 15:08)→T尾根登山口(15:43)→御池林道小又谷(15:59)

駐車場:御池林道小又谷に20台程度


今秋の鈴鹿第4弾は以前より訪れてみたいと思っていた真ノ谷三筋滝と決め午前6時40分男山を出発。
5時に出発し、のんびり山行を楽しむつもりであったが寝過ごしてしまいちょい焦りの気分!
茨川より茶屋川を遡行し、藤原西尾根経由で下山するか、御池テーブルランドを回りT字尾根から下山するか悩んだ末、
晩秋のテーブルランドを捨てきれず御池林道を出発点にすることに!

名神黒丸のPAでモーニングタイムを取り、八日市インターより421号線を政所から登山口のある木地師の里君ヶ畑へと向かう。
君ヶ畑より御池林道を走り午前8時25分小又谷出合の駐車スペースに到着。
日曜日でT字尾根より登る人が多いだろうと思っていたのであるが、先行車は林業に従事する方の軽トラが1台のみ!
やはりマニアックなルートかなあと8時40分支度を終えて小又谷林道を歩きはじめる。


木地師の里君ヶ畑 御池林道小又谷駐車スペース 右茨川方面への小又林道

林道を歩きはじめて約10分、作業用に敷かれたコンクリートの道になると右手に『ノタノ坂、茨川』への標識があり、右に折れて
小又谷に架かる立派な鉄の橋を渡る。 ここで動物調査員の方と出会い少しお話をさせて頂く!

小又谷林道 ノタノ坂、茨川分岐 鉄の橋を渡ると登山道へ

橋を渡り沢沿いに続く道を中部電力の監視路を何本かやり過ごして最後まで行き、
小橋を渡って杉林の急な坂道を登ると昭和の郷愁ただようノタノ坂に到着する。ここでいつものように一本入れる。

ノタノ坂からは河倉峠、土倉岳を経てテーブルランドに上がる道があり、地図上は破線であるがしっかりとした道がついており
静かな山旅の出来るコースとも言える。ちなみに山休は下山に2度使っている。。。
沢沿いの道…少し荒れ気味か! 突き当たりに小橋あり 茨川への交通の要所ノタノ坂

ノタノ坂からは斜面をトラバースするように進み、樹林のきれいな尾根筋から茶屋川の枝沢に下ると
やがて川向こうに茨川の廃村が見えてくる。 橋が無いので流れを大ジャンプして川原に無事着地。まだまだやれるぞ!

ノタノ坂から茨川へ 茨川へ尾根筋を下る 川原の向うに茨川の村落

茨川は昭和30年代の後半に廃村となり、大学や高校の山岳部がその家屋を借りて今は基地にしているようである!
421号線より茶屋川林道を利用し、この廃村まで入ることができるので川原を遡行して西尾根経由で藤原岳に登る方も多い。

村に着くと黒丸PAで飲んだミルクがその威力を発揮し出したのかお腹がゴロゴロ、ゴロゴロ! ヤバイ!
ブルーの屋根がまぶしい名大茨川小屋のトイレを借りました…勝手に使用しごめんなさい!

廃村茨川 名古屋大学茨川小屋 村の守り神

軽くなった身体で川原に下りて茶屋川の遡行を開始、今日は水の流れが多く右へ行ったり、左にルートをとったり
戻ったりと何度も渡渉を繰り返し、歩くこと約三十分森のプーさんに出会うことも無く藤原岳西尾根取り付きになる蛇谷出合に到着。

晩秋の茶屋川を遡行する 蛇谷出合・・・正面が藤原岳西尾根取り付き

出合より左に入りると先程とは風景が変り、谷筋にはゴーロ状の石や岩が目立ちはじめる。
浮石に気をつけルートを探りながら石を飛んだり、岩を登ったりを繰り返してゆくと右に大きな沢が現われる善右門谷である。
ここではじめて登山者の方に遭遇する。10人程の団体さんで三筋滝を見学して西尾根から茨川に戻られるとの事。

岩が目立ちはじめた茶屋川上流・・・沢沿いを歩く 善右門谷と左岸を登られる登山者

善右門谷からはすぐに真ノ谷を大きな岩の壁で遮るようにして立ちはだかる三筋滝が姿を現わす。
水の流れは一本しかないが結構な水量を誇る立派な滝であり、なによりも谷を塞ぐ壁が巨大で函谷関を想像させる。

この壁の前でコーヒーを点ててやっとここに来れたと滝とゆっくりと会話を交わす。
三筋滝・・・壁が威圧的である

さあ 滝を越えてゆくぞ!函谷関の攻略である!
右岸(左側)に張られたロープが高巻ルートのようであるが、足場は脆く崩れそうであり、ロープもあまり信用できない感じがする。
 自分で足場を作りながら、ロープに体重をあまりかけないように四つん這いで登って行き最後は木の枝を掴みグイと!
幸い傾斜はそれほど無いので見た目よりは簡単に登れた感じである。

右岸の高巻ルート・・足場が脆い 高巻ルートより 三筋滝を上から見る

三筋滝を越えると谷は荒れが目立ちはじめる。 ルートは沢沿いであるが踏み跡はほとんど確認できなくなり
歩き易い場所を選んで右に左にへと歩く。 左に土倉谷を見てさらに遡上してゆくと小滝や大岩で行き詰ることが多くなり
右岸、左岸にルートを探しながら慎重に進む。
谷の上からは『あのおっさん何しとんねん』と言わんばかりに猿君が見下ろしている。

倒木などで荒れが目立つ 土倉谷 きれいな小滝もルートは不明瞭

やがてゴルジュ帯に入り無名滝手前の小滝まで来ると完全に行き詰まりルートがわからない!
一度戻って高巻ルートを探すと左岸上部に古びたテープを発見! どうやらゴルジュ帯を進み過ぎたようである

高巻ルートもほとんど踏み跡がなくテープを目印に
ゴルジュ帯を眼下に見ながら進むと
木になにやら爪で引っ掻いたような傷が数本! ドキ!
ドキ!ドキ!森のプーさんの爪痕!!か!
永源寺で捕獲された熊が茶屋川に放されたと聞いていたのでなおさらドキ!ドキ!
あわててザックを下ろしポケットにあるラジオのボリュームをアップしてゴルジュ帯上部に出、さらに小滝を何個か越えてゆく。


この滝を少し戻り左岸の高巻へ 高巻よりゴルジュ帯を下に見る・・熊の爪! さらに小滝を越える

このまま8合目の出合いまで遡上して御池を回ると下山時に日が暮れてプーさんの餌食になり、『熊に食べられた山休』と
墓石に書かれては末代までの恥とばかりにテーブルランドに這い上がることに決める。

地図を広げるとテントサイト手前、頭陀ヶ平対面の尾根が東ボタンブチに通じておりこれを登れば抜けられると判断。
谷筋の一本杉より尾根を登りはじめるが、足場が悪くほとんど四つん這いの状態で木に掴まりながらよじ登る状態がしばらく続く。

この木より尾根に上がる 足場が安定せず苦労したテーブルランドへの尾根

登り続けること50分、背中の頭陀ヶ平や藤原岳稜線が目線の位置に近づくと
左上部に東ボタンブチらしきの岩場、そしてなんとテープマークを発見!きつい登りに折れそうになりだした心に力を与えてくれる。
あとはテープマークにそって10分程登りテーブルランド東側に飛び出す。

天狗岩と展望丘が樹林の間より 東ボタンブチ北側に飛び出す 竜、釈迦、御在所南部方面の展望
東ボタンブチより頭陀ヶ平、天狗岩、藤原岳(展望丘)を展望

東ボタンブチからは先日の雪が残るテーブルランドをグルっと一回りし、明るい時間帯での下山のメドがついたので
ボタンブチ手前の岩場で天狗堂を眺めながら遅めの昼食とコーヒータイムを取る。
雪の残る晩秋のテーブルランドとT字尾根下降点を望む

T字尾根下降点で14時22分、冬の山歩きのタイムリミットにしている16時までに下山をとテーブルランドからの急斜面を飛ばし
お気に入りのブナ林からボタンブチの岩場に別れの挨拶をして、馬の背状の石楠花尾根を慎重に素早く下る。

鞍部より一度登り返してT字尾根中心部に到着。

T尾根登山道風景
T字尾根下降点 美しい自然林の続く尾根筋 樹林の間からはボタンブチが!
石楠花の群生する痩せ尾根 鞍部よりブナ原生林を登り返す T字尾根中心部

中心部からは南に続く尾根筋をしばらく歩き、尾根終点より植林地との境を南西方向に下り、前方に見える
天狗堂が次第に目線より低くなりだして御池林道T字尾根登山口に到着。


テーブルランドの下降点より1時間20分、まずまずのペースで下れたなあと
御池林道をテクテクと歩いて小又谷出合の駐車スペースに15時59分に戻り自己で取り決めている下山時間にセーフ。
川の遡行、谷の遡上、滝越、ルートF、草原歩き、展望、美しい森と魅力たっぷり、ちょっと不安な山歩きを無事終える。

ルートは植林地との境 天狗堂を前方に見ながら下る 御池林道T字尾根登山口