鈴鹿鎌ヶ岳
松山谷を遡行し、西鎌尾根(松山尾根)より鎌山頂、下山はニゴリ谷を下る。

山行日:2011年5月3日
天候:曇り黄砂多し
メンバー:単独
コース:稲ヶ谷登山口(8:20)→松山谷・ニゴリ谷分岐(8:36)→10mの直滝(8:58 9:10)→松山谷終点
→西鎌尾根ザレ場(10:33 11:04)→鎌山頂(11:40 12:35)→岳峠(12:53)→ロクロ谷分岐(14:00 14:05)→稲ヶ谷登山口(14:35)


4月に2回鎌ヶ岳松山谷を遡行したのであるが、2回とも雨で撤退をしておりなんとかリベンジをしたく3度目の正直で松山谷へと向かう。
5時45分八幡市を出発し、京滋バイパスより新名神に入り草津パーキングエリアで休憩をした後、土山インターより鈴鹿スカイラインへと車を走らす。
途中青土ダムに泳いでいるたくさんのこいのぼりに晴れのお願いをし8時過に雨乞岳稲ヶ谷登山口に到着。

ゆっくりと支度をしてスカイラインを少し戻って東芝山岳会のプレートよりガードレールを跨いで川原へと下りて行く。
前2回もそうであったが今日も登山者は小生一人切りのようである。
青土ダムを泳ぐ鯉の群れ 雨乞岳稲ヶ谷登山口 東芝山岳会のプレートが目印

稲ヶ谷の流れを渡り左に少し登るとスカイラインが出来る前の旧道があり、川に沿って歩き砂防ダムを超えたあたりで川原へと下りてゆく。
川原を進むと松尾川との二股があり、真中の堤を右のニゴり谷にそって進んでゆき再び川原に下りると松山谷の流れである。
流れを渡り直進するとニゴリ谷方面であり川原を進むと松山谷の遡行がはじまる。
旧道をしばらく歩く 川原を行くと二股・・右ニゴリ谷 左松尾川 直進するとニゴリ谷へ 左が松山谷

松山谷を遡行してすぐに4段の大滝が左に姿を現わしてくる。この滝を登る自信は無いので左岸の岩場を三点支持の基本を守り巻いてゆく。
上部にでると道が不明瞭になるが鹿ネットに沿って左にゆくと松山谷に再び出合い奇麗な小釜が!
4月1回目に訪れた時は右に進んで枝沢に迷い込み撤退の憂き目!(涙)
4段の大滝・・・滝壷は岩崩れで埋まっている 奇麗な小釜・・・泳ぐと気持ちよさそう!
小釜からは小滝、滑滝の連続するすばらしい沢が続き、適度な水量で快適な沢歩きを楽しむ。
小滝を登り、滑滝を軽快にクリアして進むとやがて前方にこの沢核心部となる10mの直滝と10mの斜滝が姿を現わす。
稲ヶ谷の登山口を出て約40分ここで本日1回目の休憩を取る。。

松山谷沢風景
10mの直滝 10mの斜滝
10mの直滝はさすがに登ることは出来ず右岸を高巻いてトラバースし斜滝へ下りる。
斜滝を三点支持で慎重に、丁寧にクリアすると谷はその幅を狭めだし、流木も目立ちはじめ次第に伏水となる。
沢の両岸にはイワウチワが咲き乱れ、沢になんか変なものがいるぞと思われているような感じである。

岩棚に咲くイワウチワ…何か話しかけるように此方を見つめている。
二股を右に進路を取り伏流水になった沢を浮石に注意して遡上してい行くとやがて沢はガレ場に突き当たる。
前回はここで雹に遭遇し、天候悪化で撤退した場所である。
ルートをチェツクしてガレ場を左より四つん這いで登り切って行く。
二股を右に進む 谷は狭まり伏流水に 突き当たりはガレ場

ガレを乗り切ると小沢があり、対岸に窯跡を発見、へえ!昔はこんな所へも人が入っていたんだなあと変に感心!
山休よ感心している場合か!馬鹿者どちらに進めば良いかわからんではないか!!
林を強引に登れば尾根に出る感じであるが、地図を確認するとガレ沢の終点がどうやら尾根になっておりそちらを選択!いざ!
ほっとする窯跡 立ち往生で窯跡に咲いていたショウジョウバカマとアセビに笑われる

窯跡より細くガレた谷筋を黙々と登ってゆくと扇を広げたような壁に突き当たり、尾根に登るルートを探す。
直登はオーバーハング気味になっており難しそうなので、斜面をトラーバースすることにし足場を作りながら慎重に進む。
斜面を渡り切り、木の根をグィと越えて尾根に出ると赤いテープマークが!松山尾根コースである。

窯跡より登ってきた涸沢 足場を作りながらトラバースした急斜面
松山尾根にでると地図には載っていないがしっかりとした踏み跡のある登山道となり、気持ちにゆとりが生まれてくる。
樹林の途切れた場所からは雨乞岳、御在所岳、鎌尾根を展望することが出来るようになる。
雨乞とイブネの稜線 御在所岳 鎌尾根

やがて前方にこのコース最大の難所である風化した花崗岩のザレた痩せ尾根が姿を現わす。
足場が靴一つ分も無い場所があり、両側は数十メートル程切れ落ちており滑落すれば明日は無いなあと手前でルートを確認する。
いざ渡りだすとロープが尾根より西にずれており掴むとバランスが取れず、ザレ場を股に挟んで進むことに!

松山尾根のザレた痩せ尾根・・・立って歩けず股に挟んで進む

真中辺りまで来るとさらに細くなり立ちあがって足場を確保しようとするもズルズルと崩れてうまく立ち上がれず。
前に進めずしばらく考えた末、枝を引き寄せロープを掴み強引に突破を図ってみるが、瞬間ザレが崩れなんとロープに宙ぶらりんに!
必死に脱出を試みるが対面は土がえぐれて足の置き場が無く、ザックと自己の体重計75kが支えきれずあえなく落下!終わったと!

ドーンとお尻から落ちてそのまま十数メートル滑りなんとか途中で止まるも、安定した岩棚まで5.6mさらに自己で滑る。
身体をチェツクすると幸い擦り傷多数と軽い打撲で事なきを得たようであり、恨めしく滑落したザレ尾根を見上げる。
ガレ場や岩場であれば命は無かったなあと冷汗を掻きながら今度は脱出ルーとを探す。
滑落した尾根を見上げる ずれたロープ

一度滑落した場所へ登り返そうとするも滑って登ることが出来ず、帰ることが出来ないのではと頭によぎる不安を振り払い
気を取り直して右の急斜面へ滑落しないように慎重にトラバースし、垂直に感じる足元がゆるく不安定な壁を
ドウダンツツジと石楠花の木を掴み懸垂するようになんとか尾根筋へ這い登る!


尾根筋で再度身体をチェックするとズボンのお尻部分はビリビリ破れており、中のパンツも破壊されて
かわいいお尻から血が滲んでいるではないか!それでも骨折などは無く一安心!

ジャンの馬の背やロバの耳でも感じたことのない恐怖感を味あわせてくれた宙吊りのザレ場に最敬礼をし山頂へ!

*帰宅後、確認するとザレ場に架かるロープが、風雪の影響かえぐれて木の根ごとはがれ西側に大きくずれていることがわかりました。
地図には載っていないルートですが一応滋賀県にはメール報告しておきました。


反対側からみる痩せ尾根…下りでは下降点がえぐれてさらに危険 破壊されたズボン
痩せ尾根を過ぎるとコースは穏やかになり、足元にはハルリンドウが咲き乱れ、バイカオーレンもまだ元気に顔を見せてくれる。

松山尾根上部で迎えてくれたハルリンドウとバイカオーレン
花達と会話を楽しみながら尾根筋の登山道を進むと、前方上部に鎌ヶ岳の男性的は山容が見え始め傾斜が増してくる。
何度か得意の立ち休憩を繰り返し、武平峠からの巻き道分岐を通過して鎌尾根が目線の高さになりと南側山頂稜線に到着。

花咲く松山尾根上部 岩だらけの南西斜面がみえはじめる 鎌尾根が目線の高さに!

稲ヶ谷の駐車場を出て3時間強、途中滑落で30分程時間をロスするも無事10度目の鎌ヶ岳山頂を踏む。
さすがに祭日であり、山頂には武平、カズラ谷、長石谷から登ってこられた大勢の登山者の方が、展望を楽しんだり
昼食を摂られたりと山の休日を思う存分味わっておられるようである。


昔のお姉様より、『お兄さんズボンが破れているよ』と声をかけられ『さっきこけました』と
お尻を手で隠し笑いながら山の会話を楽しむ。

山頂とマイザック 綿向と雨乞…下に松山尾 鎌尾根と南部の山々
展望と食事を楽しんだあと下山予定のニゴリ谷に向けて岳峠へと山頂を後ににする。
急斜面を下ると菰野町観光協会によって長石谷との分岐に新しく立てられた標識があるが、ニゴリ谷の案内は無い。

この標識の裏より樹林を掻け分けてゆくと地図には載っていないが赤テープのしっかり付いたニゴリ谷コースへと出合う。
◎ニゴリ谷へは旧標識の裏から入るのがわかりやすい。

鎌山頂から岳峠への下り斜面 新しく立てられた標識 テープマークのあるニゴリ谷
このニゴリ谷は結構人が歩かれており踏み跡もハッキリとして迷うことはなく、落葉に隠れた浮石の注意して下って行く。
源頭部で最も鎌ヶ岳らしい西南斜面をじっくりと展望したあとガレた沢を快調に下って行く。
鎌ヶ岳が最も荒々しい姿を見せる南西斜面
左岸より落ちる一筋の滝を越えると谷筋にも水の流れが現われはじめて歩行は沢歩きになってゆく。
いくつかの小滝、滑滝をクリアし、左岸、右岸の歩行を繰り返してゆくとやがてロクロ谷分岐へと到着する。

ニゴリ谷上部のガレた沢筋と左岸より落ちる滝、滑滝
分岐で一息いれて水量の多くなった沢筋を滑らないように丁寧に下ってゆく。
沢沿いにはイワウチワ、ニシキゴロモ、ミツバツツジが咲き松山谷分岐まで快適な沢歩きとなる。
ロクロ谷分岐 左ニゴリ谷 奇麗な小滝・・・ルートは右岸 快適な沢…右岸を巻くルートもある

松山谷分岐からは午前に歩いたコースをたどり稲ヶ谷登山口へと戻る。
今回の山行は途中、風化した花崗岩のザレ場で滑落のアクシデントがあり、低山でも『なめたらあかん』の教訓を得る
貴重な山行であった。幸いなことに大きな怪我にならず山の神様に大・大感謝!

破れたズボンを履き替え、家に帰れば痩尾根のザレ場以上の恐怖を体験できることに、
そしてこのページをアップ出来ることにあらためて感謝!
ニゴリ谷の花達・・・ミツバツツジ ショウジョウバカマ イワウチワ ニシキゴロモ スミレ アセビ