奥穂から西穂

天候:晴れ
二日目コース:穂高山荘(5:00)→奥穂山頂(5:40 6:00)→ジャンダルム(6:51 7:18)→天狗のコル(8:08)→天狗岳(8:36 8:46) 
→間天のコル(9:03)→間ノ岳(9:28 9:33)→西穂高岳(10:42 10:51))
         →独標(11:38 11:49)→西穂山荘(12:42 13:10)→ロープウェイ西穂口(13:53)


朝起きて見ると常念からご来光が顔を出して絶好の天気になっているではないか!
あわてて支度をし5時穂高山荘を出発し、取り付きの二つの梯子を登り奥穂高岳へと向かう。
この二つの梯子を越えて行くのは今日で6回目であるが毎度寝起きの為かいつも息が上がってしまう。

山頂までつづく岩道を息切れをごまかすように何度も何度も立ち止まってはデジカメでパチリ、パチリと後ろに控える槍、
右に聳える笠、左側にはるかに浮かぶ富士を撮りながら高度をかせで行く。
常念に昇るご来光 奥穂へ向かう二つの梯子 岩くずの道を山頂へ向けて登る
前穂の向うに八ヶ岳と南アルプスそして富士 ハクサンイチゲと笠ヶ岳

ジャンダルムを正面に見ながら小さな尾根を左に方向をとりガレの道を登ってゆくと山頂に到着である。
大きなケルンに6回目の再会の挨拶をし360度の展望を心行くまで楽しむ。


山頂でのんびりとしたあと前穂に向かわれる人、、山荘に戻られる韓国の人を見送ったあと、、北アでもっともお気に入りの
縦走路である西穂に向けて目の前に鋭く聳えるジャンダルムへと続くギザギザの道へ!
山頂よりジャンへ続く道 左のナイフリッジの向うが馬の背 ギザギザのてんっぺんを歩く

奥穂山頂から続くギザギザを浮石に気を配りながら進んで行くとやがて前方と両脇がスパッと切れ落ちたナイフリッジに出てくる。
有名な馬の背である。大キレットの長谷川ピークの鎖場をさらに細く急にしたような感じであり下れるのかと一瞬の戸惑いを感じる所である。

お尻を落とし岩を挟むようにして慎重に下りてゆく、躓いたり足元を踏み外すと二度と奥さんの顔を見れない奈落の底が待っている。
20m程であるが下りきり見上げるとその厳しさが良くわかる。まずは第一難関を突破である。
両脇が鋭く切れ落ちた馬の背 長谷川ピークのように鎖のガードは無し 下から見上げると鋭いナイフのようである

馬の背を下りきると一旦鞍部へ急下降し、ロバの耳への壁登りが待っている。
見た目は垂直に近く感じる壁で鎖にとらわれず

ホールドをしっかり探して三点支持を忠実守って登って行くと上部のトラバース道に出てくる。
このトラバース道は鎖でガードされているが右が切れ落ちているので気を緩めることなく通過するとロバの耳下部である。

ロバの耳への壁、画像真中がトラバース道 トラバース道 回り込むと目の前にジャンダルム
ロバの耳下部よりより小さな尾根上を行くとジャンダルムの基部に着く。
ピークへの直登ルートもあるが自分には登れないのでここは一般ルートのある西穂側へトラバースしてゆく。

岩棚に健気に咲くハクサンイチゲに感心し、足元に気をつけてジャンの岩峰を回り込むとピークの取り付き点である。
西穂側に付けられたこのルートは危険な箇所がなく10分程登って3163mのピークに立つ。
ジャンダルムの岩峰をトラバース 岩棚に咲くハクサンイチゲ 西穂側の取り付き点

ジャンのピークで穂高山荘で作ってもらった弁当にすばらしい展望のおかずをくわえて至福の朝ご飯タイムをとる。
今回で3度目であるがいつもすばらしい天候で迎えてくれるこのピークとは余程相性がいいのかもと自分で納得し、ご飯を頬張る。旨い!
食後はコーヒーを入れて笠に乾杯をし、奥穂と槍に思わず声をかけてはしゃぐ自分にテレ笑い! まあいいか!!
ジャンダルムからの展望
笠ヶ岳 目の前に重厚な奥穂 前穂と八ツ、南ア、富士 西穂、焼岳、乗鞍、御嶽山 ?

取り付き点に一度戻ってコブの頭に登り天狗のコルに向けて長〜い長〜い岩の道を下って行く。
岩場の途中にはこんな所にも咲いているのかと思うほどに高山植物が可憐な姿を見せてくれ心に余裕に与えてくれる。

ルンゼ内に付けられた鎖場を抜け、両脇が切れ落ちた高度感満点の畳岩の頭を通過して上高地を眼下に見ながら
先行の登山者の方に道をゆずって頂きどんどんと下り天狗のコルで一休み。
コブの頭に登り返す 岩場を先行する登山者
ルンゼ内の鎖場を通過 両脇の切れ落ちた畳岩の頭
岩場に咲いていた花達
ミヤマダイコンソウ ハクサンイチゲ イワウメ

コルからは何処を登ればと一瞬戸惑う程の垂直の壁が控えており、ここで滑落すれば中高年の無謀登山と
言われるのであろうなあと思いながら三点支持を忠実に守りながらスタンスとホールドをしっかり確保して登って行く。
鎖が一本付けられているがあまり頼らない方が安全であろう。壁を登り切り下を見ると結構な高度感である。
天狗のコルからの壁 壁途中から天狗のコルを見ると結構な高度感
さらに青空に突き出た天狗の頭の岩峰を登るとお気に入りの天狗岳山頂に到着し、ザックを下ろす。
今歩いて来た鋭い稜線を振りかえりながらしばしの山の休日をのんびりと楽しむ。
天狗の頭への岩峰を登る 気分爽快な天狗岳山頂

天狗岳からは前方の目線と同じ高さに見える間ノ岳に向けて有名な逆層スラブを急降下してゆく。
山岳誌などの写真では登ったり下ったり出来ないように見えるが雨や風がなければそんなにきつくはなく鎖を補助に二本の足で
スタスタと下りて間天ノコルへ。ただ鎖に頼りすぎると振られて怪我の元になるので要注意だ!

天狗岳から見る間ノ岳 逆層スラブ上部
逆層スラブを上から覗くと 間天ノコルより見上げる逆層スラブ

間天のコルからは今まで以上にガラガラの岩道が続き足元が安定せずどうも歩きにくい。ルートを見極めて慎重に登って行く。
間ノ岳付近は岩が赤茶けており今にも崩れ落ちそうな岩場が続くので落石には要注意である。

上部双頭に見える岩峰の間より西穂からの登山者が下りてきているので通過を少し待ちついでの水分補給を取る。
この登山者の方と情報交換をし、お気をつけての言葉を交わして間ノ岳への最後の岩場を登って行く。
山頂は岩に間ノ岳を書かれているだけであるがこのさっ風景な感じがなんとなくうれしい! 吊尾根の眺めが圧巻である。

間ノ岳の登りから見る逆層スラブ 間ノ岳に続くガラガラの道
岩峰を下ってくる西穂からの登山者 間ノ岳山頂と吊尾根

西穂へは痩せ尾根を渡り一旦赤石岳との鞍部に下り、そこからルンゼ状の長い鎖場を這い上がって頂に立つと
目の前の西穂がすばらしい三角錘の姿を見せてくれる。3000mに少し足らない高さであるがさすがに穂高の名前が似合う山容だと思う。
さあ!いよいよ縦走の最後のピークへ。一歩一歩その三角錘を登り奥穂山頂から5時間弱をかけて西穂の頂を踏む。

間ノ岳より西穂高を望む 手間に赤石高 赤石岳への長い鎖場 見事な三角錘 西穂高岳
笠とハクサンイチゲ イワベンケイ ヨツバシオガマ

西穂山頂で歩いて来た稜線を何度も眺めては自己満足に浸り、今年はじめての北アルプスに晴れで迎えてくれたお礼を言い下山へ。
ここからはもう厳しいところなくピラミッドピーク、独標を経由し登山者が多くなった稜線をのんびりと西穂山荘へ下ってゆく。

西穂高山頂 西穂からピラミッドピーク、独標 向うに焼岳と乗鞍
独票より歩いて来た稜線を振り返る 西穂山荘 最後は☆マークのキヌガサソウ
登山者で賑わう西穂山荘で簡単な昼食を採ったあとロープウェイの西穂口まで樹林帯を歩き14:10分の便で新穂高に下山。
バスで平湯まで戻り平湯の森で温泉に浸り、山の汗を流して京都に帰る。
*花の名前は自信がありません。