横尾本谷右股から南岳・天狗原 

山行日:2007年9月20日、21日
メンバー:単独
天候:めちゃくちゃ快晴
コース:1日目 上高地(5:40)→横尾(7:35 8:00)→本谷橋(8:47 8:53)→涸沢出合(9:18)→黄金平(11:35 12:15)
→横尾尾根(13:50 14:00)→南岳(14:55 15:10)→南岳小屋(15:15)
2日目 南岳小屋(6:45)→天狗原分岐(7:10)→天狗池(8:05 8:45)→槍沢ロッジ(10:10 10:20)→横尾(11:30 11:55)→上高地(14:15)


8月の笠ヶ岳から帰ってから仕事と体調不良が重なり山に入ることが出来ずイライラの日々を過ごしていたのであるが、
9月中旬に仕事もひと段落し久しぶりに山の空気を吸いに19日午後9時京都男山を出発し北アルプスに向う。今回は上高地より入山し、
7月に雨で断念した横尾本谷の右股を遡行して天狗のコルから南岳へ抜ける計画である。

途中で仮眠休憩をとりながら名神、東海北陸道と走り午前5時、登山口である平湯温泉に到着。
9月に入ると上高地行きの始発バスが6時台しかなく、少しもったいないがタクシーで上高地に入り、登山届を提出したあと
いつものようにザック点検と用足しをし5時40分横尾に向けてバスターミナルをあとにする。


5分程歩いて河童橋に着くと穂高の峰がまるで山休が来るのをわかっていたかのようにすばらしい姿を見せてくれる。
本谷右股ははじめて歩くところなので少しでも早く横尾に着きたく河童橋からの展望を目に焼き付けたあと明神へと急行のごとく向う。
明神岳、前穂をはるか上に望みながらさわやかな樹林帯を快適に進んで明神、徳沢と通過し7時35分横尾山荘に到着。

朝の河童橋と焼岳 朝日を受ける明神岳 前穂東壁がくっきりと!

山荘のベンチで奥さんの作ってくれたおにぎりを屏風岩をおかずに食べて右股遡行にそなえる。
雲ひとつ無い青空に聳える屏風岩の岸壁と前穂の東壁が快適な山歩を約束してくれているかのようである。


8時横尾大橋を渡って、川原状の道から樹林帯に入り、屏風岩の東壁、正面岸壁を左に見て進むと前方にはキレットが目に入ってくる。
岩苔の道をひたすら歩き屏風岩のスラブが後方になりだして登山者の休憩ポイント本谷橋にと到着する。
屏風岩も快晴 前方青空にV字のキレットが! 本谷橋

ここで足元の点検がてらの休憩を取り、対岸で休憩中の登山者の方に声をかけられないように左岸沿いを静かに進んでゆく。
しばらく左岸を進むと歩く場所がなくなり仕方なくブッシュで覆われた旧道へ逃げて、かすかな踏みあとを草を掻き分け掻き分けして
進み再び左岸へ下りて行く。川原のゴーロ帯を右に行ったり左に逃げたりし、浮石に気を配りながら進んで涸沢の出合に到着。

本谷橋から左岸を歩く 大岩をまくとまもなく涸沢出合
涸沢と本谷→
本谷はどこを歩いてもいいのだが
比較的右岸沿いが歩き易く感じた。

涸沢出合いからは右岸をしばらく進み大岩を巻いて、時々草付きの上部に逃げたりして躓かないに少しづつに高度を上げてゆくと
左股との分岐二股に出合う。左股を覗きこむとその先にはかすかにキレット稜線が見えてなぜがうれしくなる。
右股は一気に突き上げて水量豊富な沢が続いておりバンダナを思わず巻き直して気合を入れる。
キレットに突き上げる左股 水量の目立つ右股


簡単にクリアできると思って
眺めていた右股取り付きであるが
いざ登りはじめると行き詰ってしまい
少し戻って左岸より超えてゆく。



これは相当きびしいぞと気をひきしめて進み、
何度か行き詰まりながらも
右左の渡渉を繰り返して小滝まで進む。
この滝には左岸にロープがある情報を得ていたので
手前から左岸に渉り
大岩に付けられたロープを利用して、
力任せに乗り越えてゆく。



小滝を越えてもまだ急な沢が続き、
マイナスイオンのシャワーを何度も浴びながら
壁の様に見える最後の滝に向う。



傾斜を増した沢は水で滑り易く、
左右へ渡るのも四つん這いでキレットや
西穂稜線の岩場とも違う緊張感があふれてくる。
こければ一大事!!



最後の滝手前で一休みし、
ルートを確認して右の岩より乗り越えてゆくと
目の前に緑が広がり、
正面の横尾尾根スカイラインがまぶしい。

涸沢への登山道より見る右股
7月に撮影

右股への取り付き 前方の岩の間にに小滝が現れる
右側の大きな岩にロープあり 急な沢はまだまだ続く
壁のように見える最後の小滝 左の岩を乗り越えて行く
南岳稜線と横尾尾根に囲まれた楽園黄金平

右股を登り詰めて到着した黄金平と呼ばれる緑の庭園は槍穂の最後の楽園の名に恥じずすばらしい広がりを見せて山休を迎えてくれたようである
高山植物を痛めないようにして草つきの穏やかな沢を進みテーブル状の大きな岩で少し早いが昼食がてらの大休憩を取る。